2008年03月12日

柴田昭夫著「水戦争」、日本のイメージが変わる

柴田昭夫著「水戦争」角川新書019 760円 2007年12月刊


日本という国に、基本イメージとして、どんなものをもっていますか?
と質問されて、その問いの一つが、水資源だとしたら
私は、「水の豊富な国」と答えそうな気がする。

水不足であえいでいる国に比べれば、日本では、夏に、香川県や福岡県、それに東京都で水不足が叫ばれるけれど、まあいずれ何とかなるのではないのと受けとめられているような気がする。

この本は、そんな表面的な常識をひっくり返してしまう本だ。
実は、根本的なところでは、日本は水資源のとても少ない国なのだ。
その論証は、本文を読んでもらうしかないが、
そして、細かな数字を丁寧に確認していくしかないが、
以下の数行を読んだだけでも、その骨格はつかめると思う。
私は、この部分で目からうろこが落ちて、日本という国の脆さというか
うすうす不安に感じていたことを、くっきりとつかむことができた。

私の思いこみや今までの蓄積からそう感じただけで、他の人はなんとも
思わないかもしれないという危惧がほんの少しだけあるけれど、ともかく
引用しておく。

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「日本以外に大量の食糧を海外に依存しているのは、中近東や地中海沿岸の乾草地帯の産油国だ。これらの国々は、いわば石油を売って水を輸入しているようなものだ、ということから「バーチャルウォーター貿易」という表現が生まれたわけだが、実は日本も砂漠にある国々と同じようにバーチャルウォーター貿易で世界中の水資源を消費しながら、自国の食糧をかろうじて確保しているのが実状なのである。」
178ページから

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食糧を生産するためには、必ずどこでも水を必要とする。
食糧の輸出入とは、実は、水の交易であった。
日本の場合、膨大な食糧を工業で得たお金で買い込んでいるため
国内の水資源をそれほど使わなくてもすますことができている。
「食糧輸入を介しての世界の水に依存しているのが我が国なのである」(本書同じく178ページ)

食糧危機は、水危機に通じている、すぐに連動する問題ということだ。
自給度を上げるということは、水の問題を見直すということだ。
この本の著者は、農業と工業の水資源の争奪が、始まるだろうと予測している。正しいと思う。
水処理の立場から、言えば、そんな事態のなかでは、
生活に使う水量、日/人200リットル〜250リットルという浪費型は、一番先に検討対象になるだろう。タイ・中国では、50リットル/日・人だ。
また、下水道にしても合併浄化槽にしても、処理水を河川・湖沼・海洋へ放流しつづけることは、早急にあらためなければならないだろう。部分的な再利用でお茶を濁せる問題でなくなるだろう。今までは、食糧をとうして、窒素・リンなどの栄養物を世界中からかき集め、有機物を日本列島の沿岸部に撒き散らしてきたことが水質問題として、多くの人に指摘されてきたが、今後はさらに水量においても、検討せざるをえないことになる。

食糧自給率の問題と水環境問題が、激しくドッキングしてくる。
そして、日本は今はじまったばかりか、今後激化してくることだけど、実は世界の各地域・各国ではすでに構造的な問題として、食糧と水と水・衛生環境問題は、一体の課題となっているのだ。

今私たちが、タイ・農山村で行なっている実証実験、地球環境基金の助成によるパヤオ式トイレと水の土壌還元、自然循環の方式は、そんな課題に答えようとするものなっている。
この本は、そんな意味で私たちのやっていることをはっきりさせてくれる内容をもっている。(必読書)

この本に書かれているようなことを、もっと勉強したいと思うけれど
なかなか適当な場がない。それも、研究的な研究というより現場実践と結びつけたい。
近いうちに、アジア水環境研究会といったものをつくりたいと思っています。興味のある方は、コメントに書き込むか、連絡を下さい。
(毎週火曜日、私たちは、やまぐち県民活動支援センター会議室に集まっています)



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posted by 村のトイレ屋 at 06:00| 山口 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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