2008年02月10日

中国の農村への生活排水処理支援に思う

読売新聞、2月9日にこんな記事があったのでコメントを含めて感想を書く。

排水処理進まぬ中国農村、昔の日本の低コスト処理導入へhttp://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080209-OYT1T00833.htm
====== 一部引用======
事業は、日中の協力で水質汚濁などに取り組む「水環境パートナーシップ」の一環。くみ取り式トイレに加え、水質浄化の機能がある微生物を含んだ土や砂利に汚水を通したり、そうした微生物が付着した円盤を水槽の中で回転させたりする装置など、仕組みが簡単で、必要な機械もポンプやモーター程度で済む設備を、数か所の地域で導入。4年かけて効果を検証する。

 こうした技術はローテクで、下水道や浄化槽が普及した現在の日本ではあまり使われなくなった方法だが「現地の人たちが運営し、他の地域にも広がる方法を目指したい」と環境省水環境課では話している。
=========

今日2月10日、マロニエの森の会の定期総会に招かれて講演を行なってきた。
あったか村からなにか提案がないかといわれたが、先輩であるマロニエの会にそんな簡単に提案などできるものではない。私が考えるほどのことは、マロニエの森の会のみなさんは、試され実行し、膨大なノウハウをすでに蓄積している。学ぶことばかりだ。私はただ、最近の傾向として、ナイフや小刀、鉈などを使えなくなっているのは、児童生徒だけでなく、すでに20歳代、30歳代に及んでいること、ある企業では、現業であまりにも傷をする事故が多いので木工教室を開いてナイフの使い方を講習したこと、現場では若い世代の指先手先の危うさに危機感をもっていること、すでに問題は、相当深刻になっているようだと最近見聞したことを申し上げた。
マロニエの森の会や各地の林業振興会などの役割、もちろん、あったか村も含めて、ごく普通の「技と経験」を伝達する使命があるのではないだろうか、高度なものでなくて、昔、ごく普通だった経験だ。「肥後の守」であり、鉛筆をナイフで削ることであり、鎌でちょっとは指をきって血を流すことで痛さを知り、どうすれば怪我がないようにできるかを知ることだ。
そんな場を可能な限り多くする必要があるのではなかろうか。
それだけを申し上げた。
実は、昨日も、阿武町林業振興会の総会で、求められもしないのに、しゃしゃり出て同じ趣旨の発言をした。
マロニエの森の会の場合、むしろ反対に、昔、この会のイベントで遊んだ子供達が、実は学校や職場で、手先指先の使い方の範を示しているかもしれない。 

さて、私の話の本題は、NPOシャンティ山口が昨年行なった「自然再生機構・地球環境基金の助成事業」タイ北部農村の水環境事業の報告だ。15分ほど私が撮影した現地工事の模様をビデオでみてもらう。そのあと、嫌気性処理と土壌処理、「肥溜めと畑の関係」、現代的アレンジのことなどを説明した。
日本の江戸時代の循環型社会のものの考え方を、現代によみがえらせること、タイの農村社会の中でその絆や決りを大事にしながら、資材においては現地でもっとも普通に使われているもの、簡単に入手できるものを基準にした仕様だ。なんといっても、維持管理に高額な費用や高度な技術が必要とされていてはいけない。メンテナンスフリーに近いもの、現地スタッフの見回り程度ですむものが求められる。そんな話をさせてもらった。

こうしたものを設置したあとだったから、引用した環境省の取組みはとてもすばらしい方向を示していると思った。中国のことは疎いのでどんな技術が採用されているのか、文面では想像するしかないが、省エネ、ローテク、メンテナンスフリーをさしているのだろうとは、察せられる。

一つ大事なことがある。
今日もしつこく主張したけれど、
私たちは、タイへ今の技術を安くてすむからだけという理由で、開発したのではない。もちろん費用は大きな要因だけど、それだけでなくて、作りながら、施工例を増やしながら、より完成させて、日本へのフィードバック、逆輸入を視野に入れていることを強調しておきたい。
日本の大型下水道、農村集落排水事業、それと合併浄化槽、いずれも、今は日本では主流だけど、これをもって万全というわけには、とうていいかない。汚泥の処理に使うエネルギー、配管コスト、メンテナンスの費用など活性汚泥法をもって水処理は完成というわけには、とうてい言えない。

中国農村への支援、それは実は日本の農村の水処理のあり方への反省という視点が必要だと思う。少なくとも私たちは、タイ・農村地帯での衛生環境事業では、そうした観点で取り組んでいるし、今後もこの基本ラインはかわらない。日本で使い物にならなくなった古いシステムを発展途上国にもっていくというのではなくて、昔使われていた日本の技術の良さを(多くは1970年代の石油ショックとその後の省エネブームで評価されてもの)復権して、活用するためであり、さらに言えば、大型下水道にしがみつかざるをえない日本の水処理の現状を変えるためだ。


参考:マロニエの森の会
http://ww5.tiki.ne.jp/~shro/toppu.htm  


★このカテゴリーには、ここしばらくタイ・アジア・世界の水環境問題を書いていきます。また、タイの報告もここで書いていきます。
★毎週、火曜日、夕方6時〜8時、山口県県民活動支援センターのロビーか会議室で、タイ・アジアの水環境の研究会と情報交換会を開いています。
あったか村の環境部門も重なっています。あったか村の溜まり場もかねています。関心ある方は、気楽にのぞいて下さい。(会場費は無料です)


posted by 村のトイレ屋 at 23:18| 山口 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然浄化法-タイと日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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