2008年02月06日

岡村青著「地域再生は矢祭町に学べ!」

合併拒否で名高い福島県矢祭町のルポだ。

岡村青著「地域再生は矢祭町に学べ!」(彩流社、2007年3月)
サブタイトルに
「過疎の町にあった活性化のノウハウ」とある。
一読、とても地味な、地道の感じがした。
国の市町村合併方針を拒否する理由が、
昭和の合併の際の「血の雨が降った教訓」というのが、他の理由に比べて
とても強く、土着的な理由であったからかもしれない。
知名度の高さから、なにか高邁な理念的なものを第一義に想定して、期待していたからかもしれない。
この本を読むと、前回の合併は本当に大変だったことがわかる。
地域と地域が、利害とプライドをかけて引き裂かれる。
親戚や友人知人の人間関係も、壊される。
これを「田舎の遅れた風土性」と都会の人間は言い切ってしまうかもしれない。だけど決してそうではないのだ。地域の歴史や固有の伝統があるのだ。

市町村の広域合併は、それをあたかもローラーで踏みしだくように平均化してつぶしてしまう。

他に、町長専用車のこと、根本前町長の自宅は、役場に2分のところにあること、役場に国の役人が来たときのこと、職員が交代でトイレ掃除をするという話などエピソードがとてもおもしろい。また、工場団地に民間大手の企業を誘致する努力なども「こんなこともやっているのか」と思って意外な感じがした。

そんな地味な感じの中で合併拒否宣言は、やはり、味わい深い。
それぞれの項目が、凛とした感じを与える。

私が好きなのは、第2項目だ。
「2.矢祭町は規模の拡大は望まず、大領土主義は決して町民の幸福にはつながらず、現状をもって維持し、木目細やかな行政を推進する。」

規模の拡大になんの幻想をもっていない。
「大領土主義」という表現の的確さ。
国レベルだったら大国主義というところだろうが、土地が広く人口が
多くても、町民の幸福につながらないことをはっきり言っている。
なぜか、井上ひさしの「吉里吉里人」を思い出した。どこかにしまってあるはずだから、引っ張り出して読みたくなった。
「まさか戦車をもって国はやって来ることはあり得ないだろう」と語って
いたのは、たしか根本町長だったような気がする。

最近は、町議会が議員報酬の日当制を決めた。
その宣言が、町のホームページに掲載されている。意気軒昂だ。
図書館をつくるときに予算がなくて、全国に寄贈をお願いしたら
45万冊集まったという。このような自立する町を心ある人は、なんとか
支えたいと思っているのだろうと感じた。



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posted by 村のトイレ屋 at 23:56| 山口 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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