2015年03月26日

【本のメモ】小田切徳美著『農山村は消滅しない』岩波新書2014年12月


(フェースブックに走り書きしたものに修正加筆しました。)

最近の政府発表やマスコミは、脅迫が多い。
薬の広告も脅迫めいたことが多いが、それはそんなものだと知ってしまえばまず騙されることはない。
「お上の言うことは信用するな」「右と言われたら一旦左を見よ」と祖父や義父にはずいぶん言われた。
最近の脅迫は、地方消滅論である。
「このままでは、あなたの町はなくなりますよ」
言われなくても、危機感をもち打開策を模索しているところへ、怒涛の追い打ちである。
大慌てで「地方創生」の予算をとって流れに乗り、原発もその裏で再稼動や新設を条件にさせられているのではないかと勘ぐりたくなるほどである。

だから、反論の本が出たことはとてもうれしい。

小田切徳美著『農山村は消滅しない』は、増田レポート「地方消滅論」への反論である。
帯に「地方消滅論が見落とした農山村の可能性」とある。
厳密には、地方消滅論が潰そうとしている農山村の可能性と言った方がいいかもしれない。

「どっこい、農山村はしぶくとくいきていく」実証と論考である。

鳥取県の担当者は、次のように語っているそうだ。147ページ。
「今までは地域が、国や県に地域づくりの理念を合わせてきたが、これからは国や県の事業が地域の理念に形を合わせなくてはならない」

知ったこと。
農山村への移住希望者は、若者の世代が増えている。
嵩和雄氏(NPO法人ふるさと回帰支援センター)の説明。180ページ。。
「2011年3月の東日本大震災は、大きなターニングポイントになった。それを契機に30歳代の相談者の割合が大きく増加し、とくにその世代のファミリー層が動き出した。・・・原発事故や首都圏直下型地震への不安から移住相談にきている者もあるが、むしろ農山村で地域に密着した暮らしをしたい、つまり『ライフスタイルの転換』を希望している者が多い」

非正規雇用の推進と軌を一にしていることも指摘されている。
都会が住み難くなっていることと並行している。

考えたこと。
「半農半X」よりも、もっと多業で生活していく「ナリワイ」という考えの可能性を深めること。
仕事を多様に考えていく方法。98〜99ページ。

 もともと農山村が農業だけでなく、多業なものであったこと。
農業だけに絞って統計処理や分析を行うことにそもそも無理があった。
阿武町の木村菊人さんから教えてもらったことと見事に符合する。
木村菊人さんは、竹の皮を販売して子どもたちを学校へやったといっていた。
林業家だが林業のサイクルは、一世代で完結しないので(収入として返って来ないので)さまざまな稼ぎを考えたという。すでに億単位の売上をあげているヒノキをつかった日本列島の地図パズルは、そのヒット作だ。

他に、中国山地の経験が追跡されている本なのでとても刺激的だ。

なんといっても鳥取県に学ぶ必要があると思った。
今、仲間と準備している、「おいでませ山口♪定住支援ネットワーク」も実に多くの先進事例を鳥取県は積み上げている。
「遅れている」は、逆にいつも先頭に立つ可能性があるということ。
いや、そもそも、進んでいる遅れているの価値観そのものを再考したほうがいいだろう。
原発がなくてもやっていける社会、安全に安らかに暮らせる地域つくり。

3・11のことを直接には書いていないが、その前後の農山村を考えるには、とてもいい本だと思った。
この本をもとに関係者とじっくり討論し智恵を出し合い、横につながって、都市間競争・産地間競争・地方間競争などに巻き込まれ踊らさせることなく、それぞれの地域が特色を出し合って、独自の方法を見出していけたらと思う。
posted by 村のトイレ屋 at 11:22| 山口 ☀| Comment(0) | 本の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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