2014年09月13日

ことば)お互い理解しあう努力 松本保平・光明学校校長。児童疎開に関連して。

201409松本保平.JPG


55分頃から
「そうそう、矛盾といえば、今まで人間が戦争という名前でお互い同士、殺しあう大きな努力はかくかくとなされていたが、お互い理解し合う努力は、これに比べてほとんどなされていない気もします。」




“戦闘配置”されず〜肢体不自由児たちの学童疎開〜 投稿者 gataro-clone


福島〜山口いのちの会では、今度、福島の子どもたちの放射能汚染からの集団疎開を求めて、疎開裁判を支援することにしている。放射線管理区域に等しくレントゲン室状態と小出裕章さんがいうように、子どもたちが暮らせる生活環境にないからだ。1日も早い脱出・疎開が必要なのだ。

疎開ということばがでるとき、誰彼となく、言う言葉がある。
「戦前の軍部独裁のときだって、子どものいのちを第一に考えて疎開の措置をとったのに、今の政府はそれすらやらない。本当にひどい国だ。人権感覚が最低だ」というものだ。

NHKの番組をみて、疎開の実際を知ることができた。
人権意識から子どもたちの疎開をすすめたのではなかった。
将来の兵士要員として、空襲で殺されて兵員が減るのは困るから、東京から長野や新潟の田舎に移したというのだ。疎開も戦闘配置の一環だというのだ。タイトルにある「戦闘配置されず」とは、将来の兵隊のために一時避難させる戦略だという意味だ。
銃を握れず戦場に行けない肢体不自由児は、将来も戦闘要員でないから疎開させる必要なしという判断と措置がくだされる。ここでは、私たちが考えていたような人権感覚、子供のいのちを愛おしむ感覚から発想されているのではなくて、軍事的に問題がたてられるいる。日本で初めてつくられた肢体不自由児の学校の校長、松本保平の苦闘がここからはじまる。最初は、学校に自宅からわせずに学校で寝泊まりし、防空壕をつくり「現地疎開」とし、そこで集団生活をする。それでも、1945年年3月の東京大空襲を契機に、危険はさけられないと判断し、自力でルートを探し長野県に移住する。移って10日後に学校も破壊される空襲を受け、命拾いをする。

東京から長野への引っ越しも、障害者の移動の大変さ(列車貸し切りへの乗客の非難など)に加え、医療器具の多さが問題になる。このとき、松本校長は「肢体不自由児がいて足手まといになって、かえって軍備をむだに費やしてしまう」という詭弁まがいの機転で軍部を説得し、軍用車で機材を運んでもらうエピソードが挿入されている。それほど、障害者は戦争に役に立たないから邪魔という思想が強くあったことになる。

この番組は、戦時中の実写フィルムが使われていて興味ふかい。それと、イラストが効果的に使われている。そのひとつが、東京での苦心の「現地疎開」の様子を大勢の学校教師が視察にきて、帰りに松本校長にいう場面だ。円い人垣のなかで校長が指差され、弾劾されている。「こんな立派な施設を障害者のためにつくって使うのはもったいない、戦争に役立たせなさい、非国民だ」と言われるのだ。これには、松本校長は、強いショックを受けたようだと教え子のみなさんが回顧している。ここにも戦争には障害者は役にたたないから切り捨てよという思想がある。

さて、こういう戦時下を経て、障害児教育に取組んできたことを前提に、冒頭の言葉をもう一度考えてみよう。
「そうそう、矛盾といえば、今まで人間が戦争という名前でお互い同士、殺しあう大きな努力はかくかくとなされていたが、お互い理解し合う努力は、これに比べてほとんどなされていない気もします。」

ついでにという感じで軽く語り始めているが、日頃、戦争について考えてきたものであることを感じる。

「理解しあう」ということに更に、人として「支えあう」という言葉を追加して、ことを障害児教育と結びつけてみると、とても深く心にずしりとくる。1時間という長い番組だが、戦争と人権、戦争と障害児教育、さらに戦時下と戦後で価値観・信念に揺るぎがない、こういう人がいたという人物ドキュメントとしても、この作品はすばらしいと思った。
今、松本保平校長と同じように、福島・東日本では、放射能汚染下、子どもたちのことを思って多くの大人が子どもたちの疎開の実現に向かって苦闘している。そのこともあわせて考えた。児童疎開という言葉を、正しく復活させたいものだ。



posted by 村のトイレ屋 at 00:40| 山口 ☁| Comment(0) | 反戦・平和 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。