2007年04月15日

日本の技術、アジアの技術(エコトイレシステム)

あったか村のトイレを案内するときに
是非、読んでおいてもらいたい文章なので
掲載します。
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タイで活かされた日本の技術

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タイに元からあった!

「へえ、日本にも土壌処理があったのですか
タイの土壌処理は、欧米・日本のコンサルによって
都市の下水道に追いやられたのに」

 1999年、北九州市で開かれた日本トイレ協会のトイレシンポジュームでのこと。
招かれて参加されたタイの研究者と技術者は、驚きの声をあげた。
演壇でこれからのトイレと水処理について日本や各国の専門家と意見を交換して、そのあとちょうどパネル展示をしていた土壌処理システムを見ての感想だった。

 驚いたのは、無理はないといえる。
タイの農山村部にあるタイ式土壌処理は、たしかに欧米日本の先進国のコンサルタントや技術者によって、「非衛生的である」「原始的ある」「下水道の本道ではない」と否定され続けてきたからだ。欠点を是正してよりよいものにする視点はまったくないのだ。
 そのときのタイの研究者の言葉が耳に残っている。
「バンコクなどの都市中心地ならまだ欧米型下水道を推進するのはわかるが、農山村部では、独自なものがあっていいのではないか主張してずいぶん対立し、苦労しました。日本にも土壌処理があって研究開発されているなら、私たちも捨ててしまうわけにはいかない」

        日本の農村の智恵、肥溜めと畑

 その後7年たって、紆余曲折を経て、タイの現地で現地資材を使って、実用的で衛生的で現地の条件に叶った方式が完成した。それが、今回展示した「タイ・パヤオ式の自然循環式トイレ」である。
 ただし、タイの研究者・技術者との共同開発ではなくて、NPOシャンティ山口の今までの活動の延長に現地調査と試行の中からうみだされたものである。

 さて、ここで活かされた日本の農家の智恵とはどんなものか説明しておく必要がある。
 それは、「肥溜めと畑の関係」と要約できる。
 通説では、室町時代に出来上ってとされている。江戸時代に完成したかたちになり、つい最近、戦後にも使われていたが、最近は知る人も少なくなってきている。

 肥溜めとは、農家のトイレの下に据付けられた便槽から、いっぱいになったら運び出してためておく畑の脇などにつくられた土中のタンクである。素掘りであることが多い。底に砂や礫を敷いたり地方によって少しずつ異なる。ここで約3月程度溜められて、発酵させる。発酵の度合をみて、今度は、畑に運ばれ、畑の畝間などにヒシャクで散布される。
 ここで大事なことは、便槽から直接畑に撒かれたのではないということだ。発酵させて、その中間水を畑に液肥として使ったことである。大腸菌はここで死滅する。

     無動力で放流しないエコ・システム

 この過程は、現代的な水処理の視点で見直せば、「嫌気性処理+土壌処理」ということができる。無動力で薬品を使わず、発酵させる時間と土壌菌の働きに依拠する極めて合理的なものである。さらに、いえば、畑の地力をます肥料として活用されている点で、すぐれて循環的なものである。
 ある程度の年齢と世代の人は、この「肥溜めと畑の関係」は親しいはずだ。酒席などで子供時代の話になったときに、落ちた経験などおおいに話のはずむことがらだ。
 井上ひさし著「コメの話」には、図解入れで肥溜めが出てくる。中は澄んでいてきれいだった、とある。
 肥溜めと畑の関係は、一戸の農家の汚水処理としてみると、汚水の発生したその場で処理される「発生源処理」の典型といえる。公共水域に放流して、河川や湖や海を汚すことがない。「元で絶って」いるのである。

     循環型社会としての江戸時代

 また、社会的な全体の過程でみると生産と消費の間に無駄のない、棄てることのない、循環型社会の典型といえる。今、盛んに言われている循環型社会のモデルといってよい。
 既に多くの識者によって指摘されているが、日本の江戸時代のトイレ・糞尿の利用がそのパターンだった。京や大阪、江戸の大都市のみならず地方小都市においても、都市でつくられた糞尿は、農村地帯に運ばれ、いったん溜めて発酵され、野菜やコメをつくる田地畑に利用され、地力・生産力の向上に使われた。ほとんどの場合、農民の側が、都市住民から購入するというかたちをとっている。大名屋敷のは質がよいとか、江戸の長屋の大家は、店子から家賃をとりはぐれても、糞尿の代金
でもとがとれたといわれる。人だかりの多い雑踏に公衆便所をつくって一財産つくった商人もいたという。
 こうして、当時、パリでは路上や川に捨てて不潔極まりない状態だったのに、江戸の町は世界一清潔だったと訪れた外国の人が、書き残している。
 また、ビクトル・ユーゴは「レ・ミゼラブル」の中で「東洋の農民の知恵」として絶賛し、下水道の無駄を批判している。

     現代にアレンジする工夫

 このすぐれた日本の農家の智恵を現代にアレンジして活かせないか。
 配管や土中の資材など江戸の昔にはなかった工夫を加えて、しかも自然循環的な省エネ的な利点を残して、さらに一歩進むものはつくれないか。かなりの人々がチャレンジしている。私たちもそうである。個別の処理・活用と社会全体での循環の実現が目標となる。

 日本の技術がタイに行った。そこで工夫が加えられた。
 日本に戻ってさらに良いものになっていく。その一歩が、始まったといえる。今度は、タイの研究者・技術者をも含めて、共同で開発できればすばらしいだろう。
NPOシャンティ山口は、そうした技術の開発に、衛生環境事業として今後も積極的に取り組みます。
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以上の文章は、シャンティ山口のタイ・パヤオにおける衛生環境事業の取組みの説明のひとつです。文責は、技術担当のわたし、へちまや・安藤です。
参考サイト:シャンティ山口
http://www.kvision.ne.jp/~shanti/




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posted by 村のトイレ屋 at 06:38| 山口 | Comment(0) | TrackBack(0) | 自然浄化法-タイと日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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