2012年02月22日

ミミズの話、終了


「ゆるゆる新聞」に連載してきた「村のトイレ屋のミミズたちの話」は、終了しました。
ご愛読ありがとうございました。
いとしいミミズたちは、小出裕章さん講演会(3月18日、宇部市渡辺翁記念会館)に小出裕章さんの応援団としてくることになりました。

どこに、どんな姿でやってくるのでしょうね。

会場で一緒に探してください。
そして、ミミズたちと話をかわしましょう。



    糞と原発〜ミミズたちの話〜







 第1回  ミミズの集まりで話されていたこと  
                     
 昨日のことだ。あったか村で伐った木の片付けに疲れ、四阿(あずまや)のベンチで横になり、何かのはずみで地面に落ち、面倒くさいのでそのまま寝ていると大勢のミミズたちが集まっていて、「ぜひ、人間界に抗議しよう」と言っているのが聞こえてきた。テンデバラバラにしゃべっていた。私に伝える義務があるのか、あるとすれば厳密に内容を記録しなければいけないが、メモをとっていないので曖昧なところもある。

「どうも最近、ヒトはますます傲慢になっているように思う。ここらでそろそろ抗議文を出したほうがいいと思うが、どうか」
「農薬のことか」
「それもある」
「農薬が一番だ。ミツバチたちが大変らしいね、しばらくここで退避させてほしいといってきた」
「でも、以前に比べたらよくなったという説もヒトの間ではあるらしいよ」
「とんでもない、大体ミツバチをハウスに押し込んで交配させるという依存心
が悪い、ミツバチだって怒るよ」

「いやまあ、みんな落ち着けや、ヒトに申し入れたいのは、土の世界、土壌界のことなんだ、抗議というより、まあ勧告としたい」
「なんの話や?」
「どうも最近50年ほどヒトの糞が土世界に足らない」
「どういうこと?」
「いやこの間の土連委員会(注、よく聞こえなかった、国連ではないと思う。
記録者)でな、そんな報告が出されたのだよ」
「ああ、この間の会議な、遠くまでご苦労でしたね」
「まあ、雨の流れで行きはよかったが、帰りの道中は大変だったねえ」

「で、糞が足らんというのは?」
「あのなあ、ヒトは都会で流行ってる下水道を田舎でもやり始めて、糞と尿を、
土に戻すのをやめて、川や海に流すようになったんや」
「ああ、そうらしいなあ、集落排水とか、合併浄化槽とかいうやつやな」
「そうや、塩素消毒して流すんや」
「わあ、それはハヤもメダカもたまらんなあ」
「そうなの、人間の子どもたちも川では泳げない・・・実際泳いでいないけれどな。川で泳ぐ子どもはいまや絶滅危惧種だ」

「それも問題だが、糞を土に戻さなくなったことが問題なんだ」
「そうなんだよ、人間の作り出すものでまともな生産物は土を豊かに肥やす糞尿くらいなものだからなあ」
「あとは、大地を汚す毒ばかり」
「ほとんどヒトの食べ物は、自分ではなんにもつくらず、他の動植物からの横取りなんやものなあ」
「ひどいのは、肉食。太らせて食べる。卵も乳も、ぜ〜んぶ盗みどり、泥棒そのものなんだもんねえ」
「他の動植物が、許してはいないが大目に見ていたのは、彼らの言う排泄物、糞尿が土や土の中の小動物や微生物の餌となって役にたっていたからや」
「ヒトのただひとつの役に立つ生産物、土世界への貢献なのにね。それを水に流して海や川に捨てている」

「あのなあ、ヒトは生産を勘違いしているぞ。糞尿は立派な生産物なんだ。車やそれをつくる機械の生産のほうをすばらしいと思っている。思い間違いもい
いところだ。石器から鉄器の時代になったといって喜んでいるのは、ヒトだけだ、自然界で誰がほかに喜んだ?だれもいないのをヒトは、わかっていないん
だ」
「蒸気だ、鉄道だ、高速道路だといって喜ぶ浅ましさ」
「原発と核汚染に至っては、もう我慢の限界を越える」
「ヒトを地球から追放しよう」
「まあ、まあ、抑えて抑えて全部が全部バカではないんだから」

「例えば、今自殺を考えている大人がいるとするよね」
「今、多いらしいね、自殺が」
「そうだ、そこで自殺を引き止めるときに『あなたは糞をつくっているから立派、他になにもできないこと無力感を嘆いて死ぬことはないですよ、他にものを作り出さない方が自然の子としては偉いんですよ』と言って立ち直れるものかなあ」
「ヒトとしては、ますます落ち込むだろうなあ」
「糞しかできんのか、糞して寝れ!って最大の罵倒語みたいだしね」
「一番のほめ言葉なのにね」
「自然界全体からみれば、土から受け取ったものを土に返す、他にはなんにもしない、変な毒物を足さない、この心境にヒトはたてないだろうねえ」
「それを促す勧告文がほしいなあ」

「昔の肥溜めを使って畑に戻していた時代、あの復活が必要なんだよね」
「あそこまでヒトを謙虚にさせる文章が必要なんだよね」

「ところで、ミツバチたちは農薬使用をやめるようにという抗議文を送ったのかい?」
「送ったけれど、相手が政府で握りつぶされたらしいよ」
「送り手も考えないとねえ」
「そうだなあ」
「肥溜め研究家とか肥溜め普及協会とかそんなヒトを探してみることだろうねえ」
「ダーウインさんの弟子とか、そのつながりもあたってみようよ」

 ・・・と、ここで、私は目がさめた。夢か現(うつつ)か。思い当たるフシもある。無視して忘れてしまうか、何とかして人に伝えるのがいいのか迷ったが、感想や意見は読んだ人の判断に委ねるとして、ともかくメモを公表しておきたい。    


 第2回 ミミズの糞とヒトの糞(ミミズの学校の授業で)

                          
ミミズのヒトへの抗議は、どうなっているかとミミズの集会所を覗いてみると大人たちではなくて子どもたちが集まって、授業を受けていた。学校が開かれているようだ。

「今日は、昨日につづいてミミズの糞とヒトの糞のちがいですね、のび丸君、昨日のまとめを言って!」
「はい、昨日勉強したのは、ミミズの糞は、ヒトの糞より優れていることです。え〜と、理由は、ひとつはカルシュームを多く含んでいること、それから・・・・」
「そうですね、まず成分が優れていますね、それから・・・」
「あとは忘れました」
「ぼく、覚えているよ、あのねえ、ぼくらの糞は、つぶつぶのかたまりだから空気や水がたまって微生物が住みやすいんだよ。動物の糞のなかでも抜群なんだ」
「そうですね、よくできました。私たちの糞は、みんなが必要なカルシュームが多い、つぶつぶなのかたまりなので、空気や水が保たれて動物や植物に好まれる良い土をつくっていることになりますね。」
「でも、ヒトのはそうではないのですか?」
「ヒトの糞は、すぐには他のみんなが食べられません。毒もあります。そこでヒトが考えたのが、肥溜めです。糞をコントールしようというヒトの知恵ですね。おもしろいので黒板に図を書いておきましょう。」
どんな図が書かれるのかと思って、溝に頭を突っ込んでみたがよくわからなかった。
でも、ヒトの間でも忘れられている肥溜めが、ミミズの世界で調べられているのはおもしろいと思った。



第3回 人間の道連れになるのは嫌だとミミズたちが叫んでいたこと



 福島の原発事故は、福島で反対運動をやっている人を知っているだけに悔しさが日毎にこみ上げてくる。こころが、鬱屈して、野原に寝転んでいるとミミズの学校の子どもたちの声が聞こえてきた。

「悔しいね、」「ああ悔しいね」「先生、人間にちゃんと原発はやめろってミミズから勧告していたんでしょう」『「土の生物からヒトへ』という文章を送っていたはずだけど、・・・ヒトの心に届いているかどうかねえ」「福島第一原発は、これからどんどん土壌も川も海も放射能で汚すんですよね。」「死の灰が降り注ぐ」「もうみんな、生きていけなくなるのかなあ〜」「そうねえ、私たちはたぶんだめでしょうねえ、でもねえ、放射能のなかでも生きていける動植物や微生物はいるだろうし出てくるだろうから、これからはそんな種が地球の主人公になるでしょうねえ。」

「へえ、先生はそれでいいの、人間だけが消えるのならともかく、私たちも巻き込まれるなんて、いや!」「でも、日本列島に生まれたミミズだから運命でしょうねぇ〜、じたばたしないで、騒がないの!。私たちはそのときが来るま木の葉を食べて、良い土壌ができるようにしましょうね。明日が昨日と同じでないのは悲しいけれど、今日やることを普通にやるのがミミズの生き方ですからね」
「先生は、それでいいんですか、僕たちはまだ十分生きていないし、土も、水も、空気も人間の勝手にさせて我慢できないですよ」

「でもねえ、ヒトが頭と手を使えるようになったとき誰も止められなくて、火を使えるようになったときにも抗議をしたけれど聞かなかったから・・・」「でも薪や木炭ならみんなが許すって言ったんでしょう」「そうなのよね、それがあれよあれよという間に、石炭と石油を使うようになって、戦争のどさくさに紛れてウランやプルトニュームの核を使うようになって・・・放射能汚染の暴走」

「広島、長崎の悲劇を知っているから日本は大丈夫って先生、教えてくれなかった」
「ごめん、あれは判断が甘かったわね、信用した私たちが馬鹿だった」
「先生、作文書いていい、まだ間に合うかもしれないから、ヒトに僕たち地中動物の声を届けたいの」「賛成!」「賛成!」「私も書きたい」「私もよ」
「でも、期待しないほうがいいわよ、ヒトは生意気だし馬鹿だし、もう他の盟主生物は変わってもらったほうがいいのよ。私は、むしろ人間のようなものがいなくなるよい機会のような気もするのよ」
「でも、道連れにされるのはいや」「いやだ、いやだ、いやだ!」

ふっと、軽い風が吹いて木の葉が散って目覚めると地面に文字らしきものが見えた。
「ヒトの皆さんへ、いろいろなことはしないでください」「火が必要なら、せめて薪と木炭だけにしてください」「ヒトの欲望のためだけ頭や知識を使うのをやめてください」「間にあえば、ヒトの子にも、ミミズの子にも、地球の全部の子にもいい暮らしをしてください」



第4回 ミミズの先生がダウンしたこと、人間から手紙が届いたこと。


               
「おおい、みんな集まってくれ、大変やぁ」「どうしたん?」
「先生が倒れて、弱って寝こんでいるそうや」
「どうしたんかなあ」「見舞いにいこうかあ」

ミミズの学校の子どもたちがぞろぞろと歩き出したので、つい、つられて私もついて行くことにした。ちょうど崖の切通の断層で粘土から腐葉土に移るところだった。

「先生、放射能にやられんたんかなあ」
「雨の日に様子を見てくると地上を相当歩いていたからねえ」
「でも、よくわからなかったらしいよ、体も普通に動くから大丈夫と言っていた」
「土の味が違うようだとつぶやいていたよ」
「東日本ほど汚染濃度はひどくないとは、言っていたけれどね」
「でも、人間のバカ、アホ、本当に人間は許せない、絶対に許せないと叫んでいたよ」
「やっぱり先生も原発事故を起こした人間に怒っているのだ」
「いい糞を土に戻さないばかりか、放射能という毒を土壌に広げてこれほどの犯罪はないと身を震わせていたよ」
「それとねえ、人間の子どもに学校で、大人の放射能作業従事者と同じ放射能線の量をあてはめて、安全だと人間の文部省が言って、真っ青になっていたよ」
「勝手に基準を変えるのならつくるな卑怯者!とかも叫んでいたよ」
「さあ、着いたよ、声をかけてみよう」

「あらまあ、みんな揃ってどうしたの?」
「おや、先生、元気じゃあない?もっとげっそりやせて、干からびているかと心配してたのに」
「まあ、ありがとう、ずっと寝こんでいたの、でも、もう元気よ、元気になることがあったの、あのねえ、みんなこれをみて、・・・・やっと人間から返事がきたわよ」
「この間出した作文の返事なの?!」「そうよ!」「わあい、わあい、わあい」
「さあ、ゆっくり読んでみて」

雨が強くなって文字が乱れたが、数通あるようだった。一枚目は、次のように読めた。
「迷惑をかけてごめんなさい。今度の事故は、生活には電気が必要だと思い込み、危ない原発に頼ってきた日本の大人の責任です。心の中では反対していましたが勇気がなくて、大きな声にしてきませんでした。後悔しています。間に合うように行動します。ミミズのみなさんも、人の子ども滅ぼしたくありませんから。ダーウインの弟子より」
                               


第5回 「疎開ならミミズもするよ」とミミズに言われて考えこんでしまったこと



「もう少し、まっすぐ植えたらどうですか」「株と株の間も同じ間隔にしたら見栄えも良いと思うけれど」
 あったか村の畑にエゴマを植えた。スコップで穴を掘ってそこへ移植する。そのときどこからともなく声がしたので、じっとしていると声はミミズの一団からだった。
 私は、今までミミズの学校の集まりの声を聴いてはいたけれどミミズとの会話ははじめてだったので、少しドキドキした。
「ここらは僕らの糞がいっぱいあるから、良い土になっていると思うよ」
「そうですね、ほんとうにほこほこしていて手でさわっても気持ちがいい。ありがとう」
「お礼なんて・・・でもうれしい・・・あのちょっと聞いていい?」
「なに?」・・・通じているのがわかって私はうれしくなった。
「福島の子どもたちのことなんだけれど、・・・今、ミミズの世論が怒っているですよ」
「どういうことだろうか?」
「人間はアホだと思っていたけれど、ここまでとは思わなかったって、です」
「あのねえ、ひとことで言うと福島の子どもたちをなぜ遠くへ移動させないのか、安心なところへ脱出させないのか、それでみんな怒っているんですよ」
「・・・・」(私)
「福島市で放射能汚染がひどいので立ち入り禁止にされた公園があるの。すぐ側に住宅団地があって人が住んでいる!」
「長袖、帽子、マスクの子どもたちが毎日、側を通って学校に行っている!」「それで安全だと思っているのだろうか」
「自動車だって、高速道路だって、新幹線や飛行機だって、人間はアホみたいにたくさんの乗り物をつくっているではないですか。今、なんでそれを使って危険なところから安全なところへ移動しないのですか」「子どもからセシュームが出ているって話もあるよ」「あの恐い内部被曝がはじまっているんだ」
「疎開っていうんですよね、他に移動することを」たまらず私は、ひとこと言った。
「なんだ、人間にだってそんな言葉まであるんか、じゃあなぜ急いでやらないの」
「・・・」
「ミミズはねえ、巣の中の水が引かなかったり、土の中に酸素がなくなったりしたときにみんなんで、いっせいいに移動するんだよ。そうだ、先生は皮膚の湿り具合でも判断するって言っていたよ」
「人間が素直になれないのは、きっと自分の過ちを認めたくないからだよ」「ただちに健康に害はないって、危ないって認めていることではないですか」「過ちというより犯罪ね」「政府と東電の共犯者の犯罪隠し」「犠牲になるのは弱い子どもたち」「生体実験はやめてくれ」「土の世界では、そう言ってみんな怒っているんです」
「おじいちゃんがね、伝えてくれって。人間のことは人間の間でまず結着をつけてくれって、人のよいミミズ観察者でも構わないけれど、ミミズの気持ちがわかるなら、人のみんなにこのことを伝えてくれって」
ああ、嫌だなあ、人間の間で説得して歩くなんて・・・でも福島の子どもたちだけはなんとかしなくては。私は、どうすればいいのか、座り込んであれこれ考えこんでしまった。



第6回 味もない、臭いもない、ぴりっとも、こないと子どもたちが、話していたこと


 この夏はとても暑かったので、あったか村のハンモックは、とても助かった。かなり涼しくなったが惰性で、いつものように寝そべっていると側の溝からとても甲高い声がした。「おやミミズではないのかなあ」といぶかっているといつものミミズの子どもの声も聞こえてきた。

ミミズ1「あのねえ、ドジョウさんたちは、どうして食べ物を見分けているの?」
ドジョウがミミズのなかに遊びにきたのだろうか。
ミミズ1「最近、先生にね、何でもかんでもすぐに口に入れてはいけません、と言われているんだけど、でもねえ、いちいち気にしていたらなんにも食べられなくなってしまうよ」
ドジョウ「へぇ、君たちもそうなの、ぼくたちも学校でなんでもすぐに口に入れないようにと注意されたよ。でも、僕らの場合は、口に入るものはミジンコなんかも、みな水と一緒に飲み込むから選んでいられないよ。ミミズのみんなこそ、どうしているか、知りたいねえ」
ミミズ2「ぼくらはねえ、先生がうるさいんだ。この間、かなり地面を歩いて、弱って帰って来たことがあるんだ」
ミミズ3「そうそう、へたばって寝こんだんだよね」
ミミズ1「そのときから、しつこく言うんだ、変なものは口に入れないでねって」
ドジョウ「へぇ、大変だったんだね。でも、この間カエルから聞いた話では、また聞きかもしれないけれど、福島からばらまかれた放射能には味が無いって話だよ、だからわからないんではないかなあ。君たちはもともと味で食べ物を選んでいるんだろ」
ミミズ2「そうなんだよ、葉っぱとか、草の茎とか、近づいてちょっとかじって味をみるよ。それから土の中のトンネルに引きこむんだよ。学校で習ったけれど、ダーウインというミミズの仲間の学者が、長いことぼくらを観察して、ぼくらが丸い形をした枯葉とか茎を運びこむのでミミズは形で食べ物を選んでいると勘違いしたそうだ。あの人のただひとつの間違いだって先生が言っていた。」
ミミズ3「ぼくらは、形でなくて味で選んでいるの」
ミミズ1「だからねえ、先生も本当に困っているんだよ、味の区別を放射能では教えようがないって・・・・」
「だからある時は、人間に怒りをぶつけてとまらないの。人間が火を使いはじめたときに地中動物全部で止めればよかった、せめて電気なんて馬鹿なものを使い出したときに抗議すればよかったって」
ドジョウ「でも、今や原子力だもんな・・・人間だってコントロールできていないじゃないか」
ミミズ2「だから人間から手紙がくれば機嫌が少し直るんだけれど、いつもは身をよじり震わせて怒ったいるよ。とても近づけないよ。土を汚し地球を滅ぼす気かって!」
ドジョウ「それで、ドジョウも何とかしないかってうちのおじいちゃんに声がかかったんだね」
ミミズ3「へえ、そんなことがおとなの間では進んでいるの」
ドジョウ「そうなんだよ、実はねえ、福島から順々に伝わってきた話なんだけれど、福島の小川ではカエルがいなくなって、鳴き声が全然聞こえなくなったんだって」
ミミズ1「カエルって君らドジョウを餌にしているんでしょう。だったら・・・」
ドジョウ「最初はみんな喜んださ、天敵がいなくなったってね・・でもカエルが住めないところにぼくらも住めないんだよ、またカエルがいないことにはぼくらも困ることがあるんだよ」
ミミズ2「それで、・・・・」
ドジョウ「放射能は、味もない、臭いもない、ピリッと来ないからわからず飲み込む、どうしたものか、あちこちに相談しているようだよ」
ミミズ「やはり、おとなにも初めてのことなんだねえ、ああ、・・・あああ」

人間のため息を聞くのも辛いけれど、ミミズやドジョウの子どもたちの嘆き声はもっと辛く応える。季節に関係なく、もう、ハンモックに寝そべっている時ではないのだ、人間の側が変わり、変えるときなのだ。



第7回「糞と原発」という文書が、ミミズの集まりで配られているそうだ 


         
 久しぶりにミミズの子どもにあったら、土の世界では、人に抗議する集会があちこちで開かれているという。大きくなり広がっているそうだ。人間に知ってほしいと木の葉に書いたものを渡してくれた。
集会で読まれているそうだ。
============

糞(くそ)には、臭いがある。
臭いは、広がり、糞のある場所がよくわかる。
出された糞に栄養がある。それを知るものは、臭いにひかれて集まってくる。

放射能には、臭いがない。
放射能が、あつまり溜り、放射線を出しているかどうか、臭いではわからない。
人間は、カウンターを子どもに持たせる。
積もった値が高いとわかったときは、細胞は壊されている。

糞には、色がある。
黒っぽいとき、茶色いとき、黄色いとき、
色によって体調をみるものもいれば、
色によって味を見分けるものもいる。

放射能には、色がない。
昼のあかるさにも見えず、夜の闇にも光らない。
虹色の魅力がないから、好きだからといって近づくことも、
嫌いだからといって敬遠することもできない。

糞は、土に戻る。
糞は、土に住むものの食べ物だ。
植物の栄養となって、根から上へあがる。
草となり、茎となり葉となり、穀物となる。樹木となって、果実となる。
動物たちが食べて、再び糞となる。
糞が大地を豊かに育て、大地と生きものをつなぐのだ。
糞は、本当に偉いのだ。

原子力発電所から出た核燃料のカスは、土に戻せない。
誰も受け取らない。誰も次にまわせない。まわしたら、その先は死ぬ。
放射性廃棄物を互いに押し付けあって、つながりを断ち切る。
海底は、海の生物が断る。南極の氷の下は、汚れを地球に広げる。
宇宙に放り出すのは、地球のわがままだと星たちが怒る。怒りとなって地球に降り注ごう。

地中に埋めて1万年かけて処分し管理すると人間はいう。
人間は、そのとき、まだ続いているのか、誰も知らない。
放射能の支配下では、子どもをうめない、子どもを育てられない。
放射能が浮いて広がり、母親の嘆きと怒りの声が地上をただよう。

ひとよ、もう、おごるな。
臭いも色もないものをつくるな。
土に戻せないものを、もう、つくるな。
次の循環にまわせないものをつくるな。
次世代に渡せないものをつくるな。
糞を土に戻せ。ミミズと一緒になって、土を耕せ。
土を耕し世界をつなげ。



第8回 小出裕章さん講演会にミミズが応援にくることになったこと

 
  やや寒くて冷え込むが、林で山芋をさがしているとミミズの子どもたちに声をかけられた。
「ねぇ、今度の小出裕章さんの講演会にボクラを招待してよ」「ボクラは、小出さんの友達で宇部に行くからねって手紙をもらったんだよ」

「福島の事故のあとに、人全部に、手紙を送ったんだよ、ほらこれ」
《ヒトの皆さんへ、いろいろなことはしないでください。火が必要なら、せめて薪と木炭だけにしてください。間にあえば、ヒトの子にも、ミミズの子にも、地球の全部の子にもいい暮らしをしてください》

私にも、見覚えがあった。
「そしたら小出さんから返事がきたの」
《40年間、危険な原発をやめさせようとしてきましたがついに事故を起こしてしまいました。ミミズのみなさんにも、土のなかの子どもにも迷惑をかけました。ごめんなさい》
「ボクタチは、小出さんにあって話を聞きたいだけじゃあないんだ、応援したいいんだ」「原発は安全だと言って大事故を起こした。今度は、放射能は低いレベルなら安全だと言って福島の子どもたちを見殺しにしている」「世界の子どもには、貧しさと飢えに並んで、放射線被曝の問題が襲っているんだ」「ボクタチも後悔したくないんだ、なにもしないで」

私は、答えた。
「よし、わかった。君たちの声がよく通るように仲間と相談し、かんがえよう」
ミミズたちの席をどこにするか、気持ちを伝え、人が実行するにはどうするか。
さあ、やることはいっぱいあるぞ。

                            (おわり)







posted by 村のトイレ屋 at 00:04| 山口 ☔| Comment(0) | おしゃべり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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