2006年05月16日

モレラ岐阜、続報。人間の都合、自然の摂理。

先日書いた岐阜の大型商業施設、モレラ岐阜の5月6日、7日営業短縮・早期閉店のこと。
来客予想数と浄化槽の能力不足の問題が、早目に閉店という形で露呈した問題。
中日新聞に続報が載っています。

見出しが、「施工業者の"手抜き"」となっていて、一読、これほどの大きな設備の設計数値を工事業者の一存でいじれるものか、と疑問に思ったのは私だけではないでしょう。
設計会社、工事のゼネコン、設備工事業者、メーカーと装置の納入業者それぞれに立場と利害がある問題でしょうが、なんといっても顧客の発注者に迷惑をかけた現実はかわらないのであって、それぞれがここから今後の教訓を引きだすことが大事なことだと思います。

「他人事だと思って気楽なことを言うねえ」
と当然反発されることは覚悟の上ですが、さしあたり当事者としてタッチしていないからこそ、じっくり今後にいかす研究できるのであって、多くの設備関係者が公然と発言はしないまでも、見守っているのは明らかです。

なぜなら、閉店という大事にならずに、
河川に垂れ流しが続いた、
なんとか乗り切った、
もうあの設計者とはつきあわない、
ゼネコン一社に取引を偏らせるのはいざという時立場が弱くなるからやめよう、
など、工事業者の誰もが一度や二度ではない苦い経験をしているからです。
むしろ、トラぶったときのゼネコンやコンサルの対応をじっとみて、
それなりの評価をしているというのが、実際でしょう。

さて、技術的な問題で、
モレラ岐阜のような大型複合施設の場合、基準では、床面積で決めることがJISにあって、概ねそれに準拠するのですが、本当にそれでいいのでしょうか。
もっと単純に、来客予想数値を別の形で出して、一人あたりのトイレ+レストランなどの使用水量を出した方がいいように思います。
レストランなど飲食店では、あまりにもさじ加減の余地があり過ぎて正確さを欠くように思います。
それと、これは災害対策にも関連してきますが、
駐車場の台数設定、避難所の設定なども当然絡んできますが、一定の定員的な考え方も、必要ではないでしょうか。コントロールできる人間の都合は、制御するという考え方も必要かもしれません。

もうひとつの問題は、人間の都合優先は、必ずしっぺ返しがくるということです。
記事によれば、浄化槽の微生物に立ち上げのための時間を2ヶ月与えなければならなかったのに開店前数日しか取れなかった、しかも2系列はそれすら、できなかったとあります。

浄化槽(下水道も同じですが)は、生物処理です。
自然界の力を人間がかりて、汚水を処理しています。
もっと言えば、自然の作用をメインとして人間はほんの手助けをするしかできない関係です。
多くの浄化槽メーカーや工事店、維持管理の業者が、「○○工業」や「工務店」を名乗っていますが、厳密には、工業というより、農業系寄りの生物システムの産業として、認識した方が正確でしょう。あくまでも自然の摂理に忠実に、その恩恵を受けるという謙虚さが、根本にある仕事だといえるでしょう。
農業に携わる人が、米や野菜をつくるのに気候や土壌や微生物の力を大事にするように、微生物の働きを見守り、手助けして、水処理を行うことが基本です。
水処理に携わるものにとって、こうした理念・自然哲学が不可欠です。

そこへ、設置コスト、納期=開店の時期など、ひとつひとつ上げていけば、「なるほど」と思わざるえない事情を並べあげて、本来の生物処理という肝心のポイントをはずしてしまうようでは、本末転倒というべきでしょう。
もともと排泄行為自体が、極めて人間的な尊厳に満ちた行為ではありますが、同時に、自然の中の自然の一部としての人間の行為であり、物の循環の一節、一工程です。その処理、次の循環への橋渡しである水処理も、見せかけの工業的姿とは裏腹に、実態は、生物的なあまりにも生物的な営みの一環です。
そこへ一時的な人間の都合を優先して、押しつけて、うまくいくと考える方がどうかしています。傲慢さへのしっぺ返しと指摘されてもやむをえないでしょう。

私自身は、都市型集積には積極的に賛成しかねるという持論をもっています。都市下水道にしても、100万とか10万とかの都市でなくて、せめて3万くらいの都市単位にしてから、都市機能を考えるのが一番いいのではないかと思っています。災害対策としてもこれが理想でしょう。その段階の人口分散を行ってから水道ー下水道を考えるのがベストだと思っています。ですから、1日で5万とか8万も集めるような施設には懐疑的です。

しかし、そうした施設をつくるのなら、自然から離れれれば離れるほど、水処理などの自然的な要素を大事にして、むしろ第一級の重大事項として扱い、その関係者の意見を最大限尊重すべきではないでしょうか。
人間・社会だけの都合、人間関係から出てくる都合、諸関係から押し切ってしまってはいけない、あくまでも自然に忠実に従わなければならないというのが、一番大きな教訓ではないでしょうか。

関係諸氏のご意見をお願いしたいと思います。
posted by 村のトイレ屋 at 20:56| 山口 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 水処理倶楽部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

モレラ岐阜の件
Excerpt: ども、くじら13号です。 先日リンクを張ったモレラ岐阜のニュースですが、 リンク切れとなっているようです。 で、続報が出ておりましたので リンクを張っておきます。 【岐阜・近郊】 「施工業者が“手..
Weblog: くじら13号と水処理倶楽部
Tracked: 2006-05-17 23:41