2010年04月22日

3年で10件、さあ次は?

 世界の26億人がトイレがないか、あっても非衛生的な環境だという。ぴんとこなかったなあ。数字が大きすぎる。
 でも、シャンティ山口の佐伯さんに最初につれて行ってもらったモン族の村で見たトイレは、トイレ屋としてなんとかしたいとおもった。「村のトイレ屋」になろうと思った私の動機は、モン族への親近感かなあ。それが、2002年の3月だった。

 最近、ローズ・ジョージ著『トイレの話をしよう』という本を読んでいたら次のような一節があった。

 「水と下水道に関してこの世界が抱える問題点は、会議の過剰なまでの多さと、実際の取り組みの不足である」

国連開発計画・人間開発報告書、2006年版にそう書いてあるという。

 インターネットでその文書を探してみると簡単に見つかった。ついでにぱらぱらと読んで見ると、第3章に「大幅な衛生設備の不足ー26億人の人が衛生設備のない状態にある」とタイトルがつけられている。26億人という数字は、ここからでたのだろうか、と思う。訳はちがうが、やはり「会議が多すぎて先にすすまない」と同じ趣旨のことが書かれている。

 案外、そんなものかもしれないなあとも考える。26億人のトイレをどうこうしようとすれば、まずはどこから手をつけたらいいのか、現状の把握と中長期の計画つくりが必要となるし、当然、会議も必要になってくるだろう。地域によって、仕様や設計が異なってくるだろうから、その選定も大変だ。担当者が変われば、一からやり直しなどいうこともあって、実際ものごとは先へ進みにくいということなのかもしれない。

 シャンティ山口の場合は、そんな大状況とはおよそ関係ないところからスタートした。支援しているモン族とその子どもたちの住んでいる学生寮のトイレをなんとかしなければいけなかった。そして、モン族の住宅と村の衛生環境を改善することが痛切に求められた。雨季になるとトイレの溜め枡から、人糞があふれ出し、そこで子どもたちが遊んでいる。この状態の改善が、求められた。

 そこで佐伯さんは、もしかして、日本の肥溜めと畑の方法がここで役に立つのではないかと考えた。そして、その方式を山口県でやっていた私に声をかけ誘って、現地調査を行なって、取り掛かった。最初は、シャンティ山口の自己資金で個人住宅で工事をし、その後、地球環境基金の助成を受けて、3年間で10件の施工をおこなってきた。

 組織が小さいとは、とてもよいことだ。
 早く決められるし、早く動ける。
 何よりも、現地の必要性を理解するのに、ストレートに響く。「顔の見える支援と交流」とは、このようなことだと思う。

 「それにしても」とある人が感想をもらした。
「3年間で10件、そのペースでやったら世界中のトイレをなんとかするには、何年かかるんでしょう。大変ですねえ」
といって、嘆息をついた。

「はは〜ん」と私はおもう。
こういう発想が、「賢い人」たちの発想なんだと。
おそらく会議も好きなんだろうなあ〜、とも思う。

 まずは、眼の前の必要なトイレをひとつひとつ作っていく。そこでの工夫を考える。また作る。喜んでもらえる。現地スタッフもマスターして作れるようになる。まずは、それでいいのではないか。それしかはじまらないのではないか。

 ともあれ、初期段階が一段落して、次は「ひとつの村全部のトイレの面的な整備」に取り掛かる。対象は、48戸、300人の住むホイポム村だ。今度は、焼畑や農業が課題に入ってくる。実績を認められて、同じく地球環境基金の助成の内定をいただいた。
 
 今度は、現地スタッフの自立とともに、日本側スタッフへの若い人の参加を強く進めたいと思っている。また、地域発NGOとしての基盤を強くしたいとも願っている。

というわけで、「自分も役に立ちたい、何か出来そう」という人の参加をお待ちしています。

参考:
国連開発計画(UNDP)


人間開発報告書2006年版―水危機神話を越えて:水資源をめぐる権力闘争と貧困、グローバルな課題―


地球環境基金


NPO法人シャンティ山口



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posted by 村のトイレ屋 at 15:54| 山口 ☁| Comment(0) | NPO法人シャンティ山口の活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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