2009年11月29日

富山和子著『ひみつの山の子どもたち』

サブタイトルは、自然と教育です。

富山和子さんの子ども向け(とされている)本は、
『生きている』シリーズです。
2009年10月に発行された『海は生きている』で全5巻が完結しました。
それに、もう一冊、『ひみつの山の子どもたち』(童話社)があります。この本はちょっと他の本と違っていて、総合学習の実践記録の本です。長野県南駒ケ岳のふもとにある七久保小学校淵上学級の1年生から3年生までの記録です。

表紙裏に地図のイラストがあって、学校から「ひみつの山」までは、ずいぶん距離があります。この道を歩いていくだけでも、楽しいだろうなあ、と思ってゆっくりみると、道に説明がついていて、それぞれ遊びと学習のポイントが書かれています。

私が一番おもしろいと思ったのは、ロープの川渡りです。
川を渡るのに橋も考えるのですが、実際私たちは、あったか村ではかなり工夫して丸太で橋をかけたのでした。
木でつくった橋は、それはそれでおもしろく、評判もよかったのです。それで、昨年作ったものが大雨で流されたとき、森の中のコンサートのために、もう一度作り直したのです。

七久保小学校の子どもたちはどのようにしたのでしょう?

「・・・あのジャングルをたんけんしたいとと、みんな思っていたのでした。
 まず、どうやって川をわたるかです。
 はしごをわたす案。ロープをつる案。いかだでわたる案。
 三つの案がだされました。なんと、きのうのうちに、ひもをもはばて、川はばをはかってきた子たちもありました。幸枝(ゆくえ)もその一人です。幸枝(ゆくえ)はわざわざやってきて、先生に注文をしています。
 「あのねえ、ロープをわたすときねえ、川はばぴったりにロープを切らないで。」
 きいてみると、両はしのしばりつける部分(ぶぶん)の長さも、ちゃんと計算にいれておくようにというのです。そばから真人(まさと)も、先生に注意をしています。
 「ロープだと、きれるといけないからはりがねをまいて、じょうぶにするといい。」
 「なにしろなあ、うちの子たちは、おれにせわをやいてくれるんでなあ――。」
と先生もうれしそうです。
    115ページ〜116ページ

 このロープ渡りは、かなり危険で「ちょっと命がけ」だったようです。というのは、途中で落ちる子がいるからです。下は、石が敷き詰められていて痛い。それで、さらに安全な工夫をします。
それは本文を読んでください。

富山和子さんの『森は生きている』に感想を書いて送り、交流がはじまったそうです。
また、この総合学習(ほとんどの授業が総合学習のようです。先生は朝来て、さあ、今日は何をしようか、相談したり考えたりしているようです。自分で考案するのだから力がいるでしょうねえ。)は、保護者にも先生の書く「たより」によって知らされ、支持されています。子どもたちが、何よりもいききとして「朝早くから学校に行きたがる」そうです。
様々な探検(漢字探検)、俳句、作詞、作曲、・・・「普通の授業」よりも学習としては実力がつく内容になって行きます。血肉化されると思います。
このメニューは、大いに学ぶ必要があると思いました。

あったか村のようなところこそ、取り込むべきだと痛感しました。

ずいぶん前に、畜産農家(酪農)と小学校の共同で実現した総合学習の報告を聞いたことがあります。そのときも、子どもたちが自分から進んで行動しはじめたと報告されていました。とてもすばらしいと思いました。

それにしても、子どもたちは「ひみつの山」とか「ひみつの基地」がすきなんですね。子どもたちの作った家の写真をみながら、私も「家出」して山に藁小屋をつくってこもったことを思い出しました。

ここの学校の子どもたちは、授業でそれをやっているんですから、楽しさも格別でしょうねえ。僕らの場合は、多少のやましさが味付けされていましたが。

この本のあとがきに富山和子さんが次のようにかいています。
大人に向かって書いています。

「もともと私が子どもの本を書くようになったのは、二つの理由からでした。一つは、ものごとを総合的に見るということは、頭のやわらかい子どものうちに訓練しなければ遅いということ。もう一つは、自然を理解するには、やはり子どもの頃からの、自然との肌のつきあいが必要であることを、大人の世界で痛感させられていたからです。」

自然と人間をトータルにとらえる。
水と緑と土をおなじものとして、つながりでとらえる。
そうした視点を子供向けの本で果たそうとしていることが、このことばによって理解できます。

12月11日に富山和子さんが宇部に来てくれます。
私たちのつつけて来た読書会を著者を囲む会として行います。
そして、講演と小野湖をめぐるフィールドワークを行います。

直接の課題は、水源地上流に産業廃棄物の最終処分場(安定型・素掘りの穴、谷間に埋設)ですが、さらに広く深く、水源と森林、川とダム、流域一貫、まちと村の関係あり方などを学べたらいいなあと思っています。

また、『生きている』シリーズにみられる豊富な知見と教え方も学べたらすばらしいだろうと思います。

富山ファンのみなさん、小中学校でテキストとして使った現場の先生方、ぜひおいでください。

 
12月11日 午後5時〜7時 宇部市総合福祉会館 セミナールーム(小)
12月12日 午前9時 宇部市小野地区 アクトビレッジおの〜小野湖畔〜大田川上流・支流
12月12日 午後1時〜4時半 事例報告と富山和子さん講演会
 宇部市文化会館 研修室





 





 
 


posted by 村のトイレ屋 at 00:00| 山口 ☀| Comment(0) | 本の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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