2009年07月25日

山口県下関市・美祢市日野川流域――産廃事例3

先日、7月22日皆既日食の日に、日野川流域水質保全協議会の関係者からお話しを聞くことができた。NPO法人うべ環境コミュニティの仲間6人とうかがった。産廃処分場の現実、裁判、反対運動の教訓など地元のみなさんの貴重な体験談をうかがった。

その中から、今回は、許可申請と許可が出される前後のことについて報告する。

2006年(平成18年)3月7日に事業者から設置許可申請書が出されている。
そして、山口県の設置許可証は、翌年2007年(平成19年)1月30日に出されている。

「地元の住民説明会はいつあったのですか?」
「平成19年の1月です。」
「では、許可が降りるすぐ前ではありませんか」
「そうです。あっという間です。何もできません。
 事業者は住民に説明したと言う形だけあればよいと言う態度です。
一度許可証が出れば、県は引っ込めません。撤回を要望してもラチがあきません。それで、ゴミ弁連の弁護士の先生に相談に行きました」

「で、どうでした?」
「そこで、一度許可証が出されたものをひっくり返すことは難しいと言われました」
「そうなんですか、私たちも、別の先生から自分のところにくるようではもう遅いと聞いたことがあります」
「そうでしょうね、でも、それであきらめるわけにはいきませんから、孫子に残す自然と水の問題ですから、地区でお金を集めて、なんとか裁判に持ち込みました。仮処分で勝って現在は操業停止に追い込み、本訴訟を準備しています。山口県も水質が悪いので改善勧告を出しています」


裁判の様子、訴状や決定は、日野川通信(9号までネットに掲載)で読むことができる。
でも、この話は出来るだけ直接多くの人に聞いてもらいたいと思った。
とくに、「住民説明会があるからそのときまで先走って何もしない方がよい」と思っている人に聞いてもらいたい。

住民説明会は、「水面下の工作」が終り、すべてのお膳立てがすんでから、公開していいように推進者側の条件が整ってから形式的に行われるものだ。
必要な用地の地権者の買収も終っている。
然るべく人物たち(いわゆるボスといわれる人たち)への根回しと買収も終っている。
行政や各団体の要路にも話をつけている。
地域でなにか入り用があれば、それとなく持ちかけて負担する。
美東町では、ある建物で「うちが1000万円だしましょう」と持ちかけてきている。もちろん断っている。
日野川では、ある選挙で争点にしてもらおうとある候補者に依頼に行ったら当の業者がマイクを握ってその候補者の応援演説をしていた例もあったそうだ。

「水源地でも産廃処分場をつくろう」と一度決めてしまえば、事態は時間がたつほど悪化する。関係者は引き返せなくなってしまう。
お金をもらった人は、悪いとあとでわかっても返せなくなる。
軽い気持ちで深く考えずに賛成した人も、下流の反対の強さに今度は反対に開き直ってしまう。感情の行き違いが起る。知人親戚、親兄弟で争いが深まる。地域が分断される。
業者は、投資した資金の回収に焦る。金額が多ければ多いほど引き返せない。ますます巨額をかけて是が非でも設置しようとする。

行政も、一度出した決定は、簡単に撤回しない。
行政訴訟の俎上に乗れば、これもある種の犯罪として争われてもおかしくない。


逆に考えると、
時間がたつ前に、噂の段階、水面下の工作が行われている段階、
まだ深く関与している人が少ない段階
投資している金額が低い段階、
しかし、
「水源地に毒物を流す産業廃棄物をつくろうとしていることは歴然としている段階」
この時期でこそ、強い反対の意思表示を行い、
「どうしてもそれは無理なんだ」とアピールすることが肝心だということだ。

すべての関係者が傷が浅いうちに、あるいは傷つかないうちに撤収できる。これが最善だ。日野川のみなさんのお話を聞いて、そう確信した。

私たちは、
1、水源地に産業廃棄物処分場はつくるべきではないと考える。
(禁止する市町村の条例は無数にある。はやく国の法律で決めるべきだと考える。)
2、宇部市民と言う立場で言えば、水甕・小野湖の水をこれ以上汚染させてはならない。
3、そのために必要なのは、産業廃棄物処分場ではなくて、水道水源涵養林だ。上流の山の手入れだ。上流域の人びとと手を組んでおいしく安全安心な水源をつくることだ。

そのためには、声をあげる時期を逸してはならない。

日野川流域は、下関市に流れる木屋川の上流域だ。
処分場は、美祢市にあるが飲用水としては下関市民の口にいる。
「裁判になったら大変」と言うなかであえて困難な訴訟に挑み、
交代で産廃処分場の監視を続け、現在は操業停止に追い込んでいる。
すばらしい運動だ。絶対に勝ってほしい。貴重なお話を聞けたことに感謝し、私たちも手を携えて取組むことを約束して、辞した。

なお、ここは安定型処分場なのに、水浄化装置を設置して水質検査を行い、それが規準を満たさないことから山口県の行政指導を何度も受けている。
この変則的な安定型処分場の問題は、本質的な事柄だが、別途報告したい。

資料:日野川水質保全協議会ホームページ
http://www.geocities.jp/hinogawa_wcc/page2.html
日野川通信のバックナンバーを読むことができます。
このアドレスを多くの場所で紹介してほしいとのことです。






posted by 村のトイレ屋 at 05:11| 山口 ☔| Comment(0) | 小野湖・産業廃棄物処分場問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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