2008年07月24日

タイ>トウモロコシ栽培急増

 佐伯昭夫さんが帰国した。佐伯さんは、NPO法人シャンティ山口の事務局長だ。約1ヶ月、タイの現地で今年度の環境衛生事業の取組みと9月のスタディツアーの迎え入れ準備をしてきた。
さっそくうかがって、いくつか興味深い話を聞いた。

 その中にトウモロコシ栽培の急増がある。
 以前なら、木々の生い茂っていた山なのに、今度行って見たら、木は伐り倒され、開墾されて、「あっ」という間に畑に変わってしまっているという。そしてそこには、ほとんどどこも、トウモロコシが植えられているという。
 3年くらい前にはじまったバイオエタノールの影響で、近年トウモロコシ価格が高騰したことが、タイ北部の山村に大きな影響を与えているのだ。

 3年くらい前にタイ政府と出先農業機関は、農民に対して、従来の果物に替えて、ゴムの木をすすめてきた。それが、今度のトウモロコシの拡大栽培の中で、ゴムの木は、まだ伐り倒されてはいないけれど、ほとんど無視され放置されて、今はトウモロコシに農民自体が切り換えているという。

 タイの土地制度に、「公共用地や国王の森林を開墾して植えつけて6年たてばその人のもの」という制度がある。どんな名前の法律か不明だけれど、開墾の誘導のため既得権化を認める政策が一時期あったのが今も続いているのものと思われる。(調べること)
今度のトウモロコシ栽培の急増には、この制度が増幅装置として働いているようだ。
トウモロコシの価格があがって少しでも多く栽培したいと自分の土地の近くか接しているところから森林を伐採して畑にしていくのだという。
ここで、私のきわめて日本的な質問。
「その行為には、警察や自治体から、6年たつ前に警告や処罰はないのか」
佐伯さんの答え。
「事例が多すぎて手がまわらないのではないか。あるいは、役人や管理者自体が、手を染めているのでますます促進されていてストップがかからないのではないか」

 ともかく、15年タイに通って山岳地帯や山村を見てきたが、今度の変容が一番激しいという。これは、モン族も、他の山岳民族アカ族、リス族なども行なっている。タイ北部は近年、華僑系資本が進出しているけれど、彼らも人を雇って大規模に、開墾と栽培をすすめている。

 山岳地帯の農民にたいして、重点穀物や重点果樹の指導、そしてその切り替えは今まであるにはあったが、今度の場合、いくつかの特徴があるようだ。
 第一に、森林の伐採や開墾のスピードが早い。ほとんど人力で行われているのだが、個人もあるが、かなりの規模の資本が投下されている可能性がある。
 第二に、トウモロコシの種子が遺伝子組み替えのもので、しかもF1で次の年も購入しなければならない。また、在来より高い。取扱金額は増えるけれど、種子の代金がほとんどを占めて、実際は採算がとれないのではないか、さらになにかの金融機関に従属させられてしまうのではないかと推測される。
 第三に、モン族や山岳民族の世界に、近年、金肥=お金を出して買う肥料が登場した。今までは焼畑農業が主体で、1ヶ所の耕地は3年は寝かせておくことが慣行であったが、それが急速に廃れて、化学肥料を買う習慣がはじまったという。また農薬についても使いはじめた。それで、無農薬・有機農業をすすめている現地のNGOのメンバーは、「無農薬で自然堆肥つくりのセミナーを開いてもまったく人が集まらなくなった」と嘆いているそうだ。

 実際の採算はとれていないのに、金額だけは大きく動く。消費拡大と自給自足社会の崩壊、そして、ブームが去ってみれば借金と共同体の崩壊・社会の変容が待っている。そんなことにならなければよいが、と、ひそかに願っている。
 世界的なグローバリゼーションの流れが、穀物価格高騰・トウモロコシ価格高騰という高波になって、タイの山岳地帯を襲っている。私たちの小さな力では、とうていこの荒波に勝てそうには思えないが、まずは起っている事態をしっかりみつめることだ。現地では、目先の利に走る人ばかりでないことも知っている。さらに、私たちには、金肥に頼らず、循環型の社会をつくる自然と合致したツールがある。小さいけれど施工実績も積み上げて、現地スタッフ・住民との協働も動きはじめている。「共に学び、共に生きる」この小さな実践の積み上げの中に、大きな希望のあることもまた動かしがたい事実だ。

 9月に行われるスタディツアーでは、行く前に調べて、現地の事情をもう少し詳しくつかんでこようと思う。

posted by 村のトイレ屋 at 15:27| 山口 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然浄化法-タイと日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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