大学で女性学(三宅義子教授)の講義をとったので
上野千鶴子さんの本をずいぶん読んだ。読んでいる。
新しい視野が開け、とてもすばらしい本が多い。
その上野千鶴子さんの本、
『国境お構いなし』朝日新聞社 2003年7月刊に
おもしろい話が載っていた。
メキシコの章だ。
「村の女性組合」 の見出し p123
次のような一節がある。
=========== 引用===============
先住民女性組織は次々に新しいプロジェクトを産み出した。そのひとつに家庭内暴力の問題がある。夫の妻に対する暴力はメキシコのマチスモの一部となっていて、妻を殴るのは「愛情のしるし」という男までいるくらいだ。この家庭内暴力は階層を問わない。外聞を恐れてじっとガマン、の上流階級の妻の話が、メイドなどを通じてひそひそとささやかれる。この家庭内暴力のプロジェクトも、コミュニティの男たちには気にさわることのひとつのようだ。
もうひとつ、彼女たちの最新のプロジェクトは村に来る観光客のために、環境保全を意識した宿泊施設をつくることだ。用地はすでに準備してあって、設計のマスタープランがかたまりつつある。レストランは組合でつくった安全な作物を使う。排水はすべて浄化して再利用する。ゴミは、リサイクルやエネルギーに転換する。そのための目に見えないインフラが建築には組み込まれている。
========== 引用終り=========
以上のプランに上野さんは、日本でいう体験型のメニュー(織物、焼き物、薬草などの工房)を提案する。それも滞在型である。)
私は、この話の中で、トイレのことが気になった。
排水浄化と再利用。どんなシステムだろう。
以前から、メキシコはトイレと処理システムが良いものがなくて苦労している、という話を耳に挟んでいた。なにか確立したのだろうか。
水の少ないところだから、再利用がポイントになる。
キューバなど中南米諸国と同じように、糞尿再利用には、反発があるのだろうか。
それにしても、住宅、野菜、ゴミと並んでトイレを「ウリ」として自慢するというのは、なんとも気持ちのいいはなしではないか。すばらしいことだ。あるようでなかなかありませんよ。
あったか村は、実は、次第に、あったか村のトイレを自慢するというか、環境保全のあり方をアピールするつもりだ。だから、この部分が印象に残ったのだと思う。
なおこの本は、この部分を含めて、メキシコがとてもおもしろかった。 それにしても、「国境お構いなし」ってずいぶんいいタイトルだ。これだけでも読みたくなる。また、読んで楽しくなる。引用以外のところもおすすめです。
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